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ストマックバンド

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【コラム】たこ焼き屋のカレー

 

小学生の時、通学路にたこ焼き屋さんがあった。

おじさんとおばさんが夫婦でやってる、こじんまりしたたこ焼き屋。

店の隣にはちょっとしたイートインスペースがあって、ボクも近くのトンネル公園で遊んだあとに友だちみんなで行って、お小遣いで割り勘して食べたりしてた。

 

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味はまあ普通なんだけど、このお店は結構流行ってて、そのうちだんだん余裕が出てきたのか、たこ焼きだけじゃなくて、たこせん(たこ焼きを煎餅ではさんだヤツ)とかたこ汁(たこ焼きの入ったすまし汁的なヤツ)とか、新しいメニューを開発しては売り出して、見るたびに張り紙が増えてるから、ボクらはそれが新鮮で楽しみだった。

学校で「あれ食べた??」とか話したりして。

 

 

そんなある時学校の帰りにチラッとたこ焼き屋さんを見たら、

 

 カ

 レ

 ┃

500円

 

って書いてあるのが見えて、ボクは目を疑った。ええっと思って。もはやタコ要素ないからね。

でも当時のボクはそれがすごい気になってさ、もちろんカレーが好きっていうのもあったんだけど、たこ焼きやのカレーってどんなんなんやろ?っていう興味がすごくて。

ただやっぱり500円っていう値段と、食べるタイミングね。

学校終わりにカレーなんか食べたら絶対晩御飯食べれないじゃん。

だから興味はあるのになかなか食べれない日々が続いたんだけど、ある日なんでやったか忘れたけど、急に午後から学校が休みになった日があって、ボクは思ったわけ。

カレー食うなら今日しかない!!!って。

 

急いで家に帰ってランドセルを置いたら、500円玉を握りしめてたこ焼き屋さんへUターン。

息を切らしながら、「カレーください!」っておじさんに言ったら、多分今まで誰も注文しなかったんだろうね。すごく嬉しそうに「はいよ!」って言ってくれて、ボクは隣のイートインスペースを横目に見て、ドキドキして待ってた。どんな味なんだろうって。

カレー食べてるのを友だちに見られたらどうしようとか、ちょっとだけ不安もあったけど、出来上がるのがすごく楽しみだった。

 

その間もおじさんはすごい嬉しそうで、ボクに「サービスしといたるからな!」って言ってさ、ボクもなんかつられて嬉しくなっちゃって。ああ、ようやくカレーも日の目を見れるんだなあって。

 

でも、なんか様子がおかしいんだよね。

 

普通、カレーってさ、お皿にご飯をよそって、そこに鍋からカレーをかける感じを想像すると思うんだけど、おじさんはよくスーパーにあるようなロール状のビニール袋を1枚ちぎって、そこにペースト状の茶色いモノ、多分ルーなんだろうけど、それをしゃもじみたいなヤツでおもむろに詰めだしたの。

 

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えっ…なにこれ…って思いながらも、おじさんが笑顔で「いっぱい入れたるわな」って

言うから、ボクはただヘラヘラするしかなかった。

 

茶色いペーストをペッ!ペッ!って手際よく入れていく嬉しそうなおじさん。

どんどん膨らむビニール袋。

不安になるボク。

 

 

気づけば袋は持つところもないくらい茶色のペーストでパンパンになっていて、「よっしゃ、ほな気をつけて持ってかえりな」って言うおじさんに、汗で湿った500円玉を渡して、ボクはその袋を受け取った。

がんばって笑顔を作ったけど、もしかしたら泣いてたかもしれない。おじさんにバレてなかったらいいけどな。受け取る時、手にちょっと茶色がついた。

 

情けなくて、悲しかった。

なんで500円も払ってよくわからん茶色のペーストを持ち帰らなきゃいけないんだ。

誰かに見られたらどうやって言えばいいんだろう。ウンチのようなモノを袋いっぱいに入れて泣きながら歩く小学生はどう考えてもウワサになる。

 

ボクはしばらく歩いたあと、歩道の横の畑に袋ごと投げ捨てて、走って家に帰った。

息が苦しかった。心が苦しかった。おじさんゴメン。もう二度と行かないわ。

そして畑をやってるおじいちゃんゴメン。でもそれはきっと土に還るから。ビニールだけ捨てといて。

 

肩で息をしながらベッドに座ってふと手を見たら、そこにはまだ茶色のモノがついていて、ボクはどうしようか迷って、少しだけ舐めてみたら、カレーの味がした。

 

 

おわり

 

 

 

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